バイオリンを習いに来る方は
バイオリン「弾き方」を
習いにきていると
思っている方が多いかもしれません。
でも、音楽を楽器で弾くというのは
楽器が弾けるだけでは
無理なんです。
楽譜に書いてある
音と長さを弾けば
音楽になると思うかもしれません。
でも、それだけだと
「音を鳴らしているだけ」
もちろん、
指が音程をとり、
弓がいい音を奏でないと
弾けません。
が、そこがゴールでは
ないですよということです。
元気なアップテンポの曲を
お経を読むように弾いたら
楽しそうに聞こえるでしょうか?
逆に
ゆったり歌うような曲を
行進曲のように弾いたら
まるで違う曲のように聴こえます。
その音楽の世界観を
自分で想像し、
時には背景やお国柄、
作曲家のことを調べ、
それを音に乗せていくのが
大事なんです。
今私は、
久しぶりにモーツァルトの
バイオリン協奏曲を
練習しています。
前にも弾いているので、
すこし練習すれば
だいたいの流れは弾けます。
ちょっと大変なのはここから。
弾きながら
今回はどんな設定やストーリーで
イメージして
弾いていこうかなと考えます。
3楽章まで練習して、
全曲通したイメージを
作っていきます。
モーツァルトがそうイメージしたとは
全然思いません。
もういない作曲家ですし、
そこは表現のルールをおさえつつ、
何をイメージするかは
演奏者の自由だと思っています。
1000人いたら1000通りあっていい。
そして
弾くたびに変わってもいい。
太っているネズミの奥さんの
何のお料理をしようか、
昔はスリムだったのに
今はこんな・・。
体にいいものにしなくちゃね。
という1楽章。
住んでいるお屋敷の部屋に
憧れのドールハウスがあり、
飼われている犬にみつからないよう
そ~っと、でもワクワクしながら
忍び込む2楽章。
犬がいない日に、
旦那さんと2人、
部屋に遊びに行き、
踊ったり遊んだり、
途中で入ってきた犬に
追いかけられて巻いたりの
3楽章。
こんな今回のストーリーを
無声映画を頭の中で見ながら
音楽を弾いてつけていく。
こんな練習を最近しています。
イメージがあるときと
ない時の出てくる音楽は
まるで違います。
具体的にその様子や
気持ちが分かるからです。
技術に関しても
やっぱりイメージは
すごく助けになってくれます。
弾く音や体の動きを
弾く前に頭の中で
見れて分かるから、
体がそのように動いてくれる。
もちろん、
そうできるような練習を
したからこそ
そこまでできるようになります。
イメージしながら
体の動きも感じ、
イメージと体を一緒に
動かしていく。
ぴったり合った時、
とても楽しく満ちた感覚です。
楽器を弾くだいご味の一つは
こんなところにあると
思います。