体と頭になじませる
大人になってから始める方もたくさんいらっしゃるバイオリン。
子供から始める場合と何が違うか時々聞かれます。
何十年かやっていて見えてきたのは、頭や体への吸収力と、反応の速さ。
子供さんたちを見ていると、感覚でものごとを捉えて、感覚でこなしていきます。
聴いた感じ、見た感じ、触った感じ、そこにある雰囲気や空気感。
幼いほどそれが大きいです。
小学校高学年くらいになってくると、思考が強くなってき、理屈が考えられる、自分で考え感じたことをやろうという意識が強くなってきます。
中学2年生くらいになると、感覚が大人びてきて、音楽の味わい方が深まり、思考力もさらにアップし、大人っぽい演奏になります。
大学生くらいまでは、吸収力が速く、中学校や高校、大学からオーケストラやアンサンブルを始めても、ぐんぐん上達しています。
大人になって、20代は結構体も頭もまだ柔らかい、30代、40代になると、体の硬さがほとんどの人に見られ、ほぐす体操をしてもらいながらの練習、50代以上になると、体の反応がゆっくりになり、感じられるまで、動けるようになるまで少々時間がかかるようです。
個人差はありますが、年齢が上がるほど、そのような傾向はあるので、遅めに始めた方は、じっくり長期戦で取り組んでいってくださいね。
体がなじむのにそれなりの時間がかかります。また、楽器を全くやってこられなかった場合は、楽譜を読むことも慣れていく必要があります。
やっぱり子供のうちからやったほうが得、と思う方もいると思いますが、それは考え方次第。
お母さんにスパルタで練習させられている子を見ると、上達はしても楽しくはないだろうと思いますし、大人に
なってから始めている方の方が、本当の意味で音楽を必要とし、自分の大切なものとして続けられています。
その辺りは年齢でもレベルでもなく、本人にとって楽しく、いいものであることが一番の幸せなかかわり方かなと思います。
得意不得意も人それぞれ。
ぜひ、他のことをわすれて、自分に向き合える心楽しいものとして、長くバイオリンにかかわっていって頂けたら嬉しいです。